【サクッと解説】睡眠薬の内服によって認知症のリスクはどうなる?

睡眠薬によって認知症のリスクは…

睡眠薬によって認知症のリスクが増大するのではないかという可能性は薬のメカニズムから懸念されています。

外来でも患者さんから不安の声を時々聞くことがあります。

確かに睡眠薬は頭をぼーっとさせて脳の機能を低下させてしまいそうなイメージがありますよね。

しかし、結論、睡眠薬の内服と認知症発症との因果関係はいまだにわかっていません

医学界でもこの疑問を究明しようとたくさんの研究がなされています。

意外にも多くの研究では因果関係はないと結論づけているものが多いです。しかし、研究の期間が数年と短かったりと未だ結論付けるのに十分な研究はなされていないのが現状です。

一方、睡眠薬の服用ではなく不眠症それ自体が認知症のリスクを上げるという指摘もあります。

現状では睡眠薬による認知症のリスクを過度に恐れる必要はないと思いますが、薬に頼らない睡眠習慣を作ることは認知症の予防という観点からもより重要と考えられますし、薬に頼らなければ睡眠薬の副作用に関する心配も要らなくなります。

私はロングスリーパーなので、睡眠の時間と質を確保しようとコーヒーを夕方以降飲まないように我慢する、入眠の1-2時間前に入浴するなどできることから少しずつ取り組んでいます。

不眠・認知症のご相談は外来でも多いですし、少しでも参考になれば幸いです!

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参考文献

Gray SL, Dublin S, Yu O, et al. Benzodiazepine use and risk of incident dementia or cognitive decline: prospective population based study. BMJ. 2016;352:i90. Published 2016 Feb 2.

Nafti M, Sirois C, Kröger E, Carmichael PH, Laurin D. Is Benzodiazepine Use Associated With the Risk of Dementia and Cognitive Impairment-Not Dementia in Older Persons? The Canadian Study of Health and Aging. Ann Pharmacother. 2020;54(3):219-225.

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