昨日元気で今日ショック症候群(皮疹があればもうけもの)
- TSS/SSSS
- 髄膜炎菌菌血症
- リケッチア感染症
- 脾臓がない人の肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌、Capnocytophaga感染症
- 肝硬変のVibrio vulnificus,Aeromonas hydrophilia
- S.aureusなどによる感染性心内膜炎
鑑別リストの意味
昨日まで元気だったのに数時間後にいきなりショック状態に陥る感染症の鑑別リストです。
昨日元気というのがポイントで数日の経過だったり鑑別はより広がりますし、基礎疾患があれば発熱性好中球減少症やそのほかの感染症でも急速に進行します。
しかし、もともと元気だった人が数時間でショック状態に陥るのといったことはあまりないはずです。
また、これらの疾患は皮疹が出現することが特徴的とも考えられますが、実際そこまで感度は高くないので皮疹がないことで除外してはいけません。皮疹があればもうけものといったくらいのスタンスで構えるべきです。本当によくできた標語だと思います。
実臨床では・・・
急速にショック状態に陥るのは脱水や出血、心源性の方が多いですので、敗血症性ショックの鑑別と並行してショックの鑑別を行います。もちろん敗血症性心筋症や血管拡張によってHypovolemiaになっていることもありこれらは合併しますが、意識障害、呼吸数上昇、発熱といった敗血症らしい所見や頸静脈圧、末梢の冷感などの身体所見、心電図やエコーでの心機能、Volume評価などベッドサイドの評価である程度当たりをつける必要があるでしょう。
採血結果の炎症反応なども参考になりますが、できれば採血で炎症反応を確認する前に上記を想定した抗菌薬投与を行いたいところです。
特に比較的若年で他にショックの原因となるような背景がない場合には原因不明のショックをみた場合腸管虚血とともに上記の感染症を鑑別にあげることで診断に近づきやすくなりますが、高齢者ではどれも原因となりうるので、まず病態の鑑別を行うことが大変です。
まとめ
原因不明のショックを見た時、鑑別病態で敗血症の可能性が高い時にあげるべき鑑別リストをメモしました。日々の臨床の参考になれば幸いです。
参考文献
レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版 医学書院 青木 眞 (著)