インフルエンザワクチンには、従来の「注射」に加えて、近年日本でも使えるようになった「フルミスト(経鼻スプレー)」という選択肢があります。
「どっちが効くの?」「子どもにはどちらが向いている?」と気になる方も多いはず。この記事では医師の立場から、最新のエビデンスを踏まえてわかりやすく解説します。
項目 | フルミスト(LAIV:経鼻生ワクチン) | 注射(IIV:不活化ワクチン) |
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接種方法 | 鼻腔にスプレー(片側0.1mL×2) | 筋肉注射 |
対象年齢(日本) | 2〜18歳 | 生後6か月以上(全年齢) |
回数 | 1回 | 小児は多くが2回、大人は1回 |
主な免疫応答 | 粘膜免疫(IgA)、局所T細胞免疫+血清IgG | 主に血清IgG |
効き目 | 小児で十分な有効性、株によって差あり | 年齢を問わず安定して有効性あり |
副反応 | 鼻水、鼻づまり、軽い発熱 | 注射部位の痛み、発熱、筋肉痛 |
向いている人 | 健康な2〜18歳、注射が苦手な子 | 乳児、成人、妊婦、喘息や免疫抑制がある人 |
効き目に差はある?
- 小児では、フルミストも注射も同じくらい有効です。
- 2013〜2016年のシーズンには、H1N1株でフルミストの効果が低い年がありました。その後株が改良され、現在は「どちらでも可」とされています。
- 成人では注射の方が安定して効果を発揮するため、フルミストは推奨されていません。
よくある疑問 Q&A
Q1. ワクチンを打った日はお風呂に入っていいの?
→ 基本的に入浴は問題ありません。ただし体調が悪いときや熱があるときは控えましょう。
Q2. 接種当日に運動しても大丈夫?
→ 激しい運動は避けた方が安心です。普段の軽い活動は問題ありません。
Q3. フルミストを打った子どもは幼稚園や学校に行ける?
→ 通常は問題ありません。ただし、園に重度免疫抑制のお子さんが在籍している場合は、主治医や施設に相談を。
Q4. 妊婦さんはフルミストを打てる?
→ 妊婦さんにはフルミストは不可。必ず注射ワクチンを使います。
Q5. フルミストと注射を両方打つともっと効く?
→ 理論的には補完できますが、臨床的に大きな差はなく、副反応やコストが増えるため推奨されません。
まとめ
- 健康な子ども(2〜18歳)は「フルミスト」でも「注射」でもどちらでもOK。
- 妊娠中・喘息・免疫抑制がある場合は「注射」を選びましょう。
- 成人や高齢者は「注射一択」です。
- 大事なのは「接種しないで冬を迎えないこと」。自分や家族に合った方法を医師と相談して選んでください。
📌 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別診療の代替ではありません。接種の可否は必ず医師にご相談ください。
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